マルタのノマドビザを取得したので、特に大変だったことや、自分なりに工夫したことなど私の体験談をシェアします!これからマルタでノマドビザの取得を検討している方に少しでも参考になればと思います。
あくまで私の場合の体験なので、申請する方や担当エージェント、タイミングなどにより、条件やプロセスが変わってくる可能性が高いです。実際に私もCynthiaさんの体験ブログを参考にさせていただいたのですが、私の場合とのプロセスや条件が違っている部分も結構ありました。実際に申請するときは、必ず自身で公式サイトを確認し、担当エージェントの指示に従ってください。
マルタのノマドビザとは?
マルタのNomad Residence Permit は、マルタ国外の企業から雇用されている人、マルタ国外のクライアントに対してサービスを提供するフリーランスや起業家が、マルタに1年以上、最大3年間滞在することができる居住許可証です。
2024年4月1日以降、最大4年更新可能になりました。
必須要件
年間の収入が€42,000以上あることを証明
年間の収入が€42,000以上あることを証明する必要があります。
2024年4月1日以降、年間収入要件が€32,400から€42,000に引き上げられました。
過去3ヶ月の銀行口座履歴、今後5ヶ月以上の契約書を提出
具体的には毎月€3,500以上の収入を得ていること、また同時にその収入源の支払元であり、申込者とノマド許可証の申込時点から5ヶ月以上、年間収入€42,000 (月収€3,500) 以上の見込みとなる契約を結んでいるマルタ国外企業からの支払であることが分かる、過去3ヶ月の銀行口座履歴と契約書を英字で(英語翻訳をつけて)提出する必要があります。
申請時の提出書類
2、3種類の申し込みフォーム(PDF)
PDFのフォームを印刷して、青いペンで手で記入し、再度スキャンしてPDFにして提出しました。これから申請される方は、フォームの名前や内容は割と頻繁にマイナーチェンジがあるので、申請するタイミングで公式サイトから確認してみてください。
マルタ国外企業との契約書
提出時点で5ヶ月以上の契約期間、月間€3,500(年間€42,000)の収入見込みが記載された契約書を提出します。マルタ国内の企業との契約では、ノマドビザは取得できないため、マルタ国外の企業との契約が必須要件です。
契約書は英語で提出が必要だったので、私の場合はクライアントに英語で作成してもらい提出しました。原本が日本語の契約書の場合は、翻訳証明付きの英語翻訳版をオリジナルの原本と併せて提出する必要があります。
銀行口座履歴
契約を結んでいるマルタ国外企業からの月間€3,500(年間€42,000)以上の過去3ヶ月の支払い実績が確認できる銀行口座履歴を提出する必要があります。
注意点としては、特定の時点での預金残高を証明する残高証明書ではなく、実際に契約を交わしているクライアントからの支払い実績が確認できる過去3ヶ月の口座の履歴が必要です。
私の場合UFJ銀行では「残高証明は英字で出せるが口座履歴は英字では出せず日本語のみ」とのことだったので、銀行に日本語で発行してもらった口座履歴を、翻訳証明付きで翻訳してもらい、原本のスキャンと併せて提出しました。
私は、万が一期間が足りないと言われて再発行することになった場合、費用も時間もさらにかかるのを防ぐため、念のため4ヶ月分を用意して提出しました。
Europass(ユーロパス)で作成したCV(レジュメ、英文履歴書)
CVとは「Curriculum vitae(カリキュラム・ヴィタエ)」の略で、Resume(レジュメ)とも呼ばれています。日本語では英文(字)履歴書とも言われているものです。
マルタノマドビザの公式サイトでは、特に指定の様式は書かれていませんでしたが、なんとなく信頼感が出て良さそうな気がしたので、ヨーロッパで仕事を探すときに推奨されることがあるEuropass(ユーロパス)のCV作成機能を利用して作成しました。
またEuropass(ユーロパス)のCV作成サイトの機能で、最後にStatement(宣言)を一言添えて、青字ペンのサイン画像を添付することができます。これはヨーロッパの一般的に公式のCVの様式の1つのようなので、少しでも許可がスムーズにおりやすくなるように願いを込めて、その習慣に従うことにしました。
パスポート全ページをスキャンしたPDF
パスポート全ページをiPhoneのPDFスキャン機能でスキャンしました。意外とスムーズでした。
夫や妻の分も申請する場合は婚姻証明書も必要
同じビザ申請のタイミングで夫・妻の滞在許可も申請することができます。その場合の要件も1人の場合と同じとのことです。ただ、フォームを記入し申請時に一緒に提出する必要があります。またその場合、アポスティーユされた婚姻証明書が必要です。アポスティーユとは、「日本の官公署,自治体等が発行する公文書に対する外務省の証明」のことだそうです。
私の場合、夫も一緒にマルタに移住しましたが、夫は別のビザを取得する予定だったので、私のノマドビザとは一緒に申請しませんでした。
アポスティーユの詳細については、外務省のホームページを確認してみてください。
銀行口座履歴の翻訳はどこにどうやって頼んだ?いくらくらい?
銀行口座履歴、契約書など提出する書類はすべて英語での提出が必須なので、原本が日本語の場合は英語に翻訳してもらう必要があります。きちんとした翻訳であることを証明するため、私は「翻訳証明」をつけてもらいました。オンラインで、サクッと明確な料金でやってくれるところを探した結果、私はアメリカの翻訳会社 RushTranslate にお願いしました。
翌日には最初のバージョンが仕上がったとメールが届き、オンライン上に保存されている翻訳ファイルをダウンロードして確認。特にクライアントとの契約に関わる部分であるクライアント名・金額の表記に誤りがあると、ビザ取得可否に関わる可能性があると思い、念のため紙に印刷して念入りに確認し、クライアント名の英字表記と金額の一部に誤りがあったので、修正を依頼しました。
修正対応もとても迅速で、当日の夕方頃には修正版もアップされていました。料金も依頼前に明確に分かるので大変満足でした。金額は、私の場合、口座履歴2枚+翻訳証明つき+スピード仕上げ的なのも追加して日本円換算で13,000円くらいでした。
Letter of Approval in Principle(原則承認書)を受け取った後、提出したもの
一旦最初の申請時に必要な書類を揃えて提出した後、Letter of Approval in Principle(原則承認書)という仮許可証のようなものをメールで受け取ります。その後、さらに以下のものを30日以内に提出しなければなりませんでした。
1ヶ月滞在する一時滞在先の予約・支払いが確認できる領収書
Letter of Approval in Principle(原則承認書)を受け取った後、30日以内に提出しなければならないのが1年以上のアパートの賃貸契約書です。しかし現実的には日本の家を引き払ってマルタに到着次第アパートを探すというタスクをLetter of Approval in Principle(原則承認書)が発行されてから30日以内にすべてクリアするのはなかなか難しいことです。
そこで「一旦1ヶ月以上の短期滞在先(ホテル・短期賃貸アパートなど)を確保しその領収書を提出すれば、Final Approval(最終承認)を一旦出します、ただし長期アパートが決まり次第、必要なドキュメントを提出しなければ、レジデンスカードは発行されません」という代替プランが提示されていたのでそれに従うことにしました。
私の場合、Booking.comで、先払い&キャンセル&全額払い戻し可能なホテルを予約し、その領収書を提出したところ問題なく受領してもらいました。
マルタで短期滞在アパートを探すならBooking.comよりAgodaがおすすめ
以前から海外旅行に行くときはよくBooking.comを利用していて、これまであまり大きな問題はなかったのですが、マルタの短期滞在用アパートに関しては事情が違いました。少なくとも私が探していた2023年末頃から2024年1月頃に関しては、Booking.comに掲載されていたマルタの短期滞在用アパートの広告は嘘の情報や不誠実なアパートが多い印象でした。
例えば、掲載されている滞在費とは別に、広告には掲載されていない電気代や水道代を別途請求する(しかもマルタの相場の光熱費よりもかなり高額)ということがこちらからメールで何度か確認した後判明したり、洗濯機があるアイコンを表示しているにも関わらず、メールで確認すると実は今はついていなくて近くのランドリーを勧めてくる、などでした。これらのやりとりも、複数回同じ質問を繰り返してようやく答えてくれるという誠実さに欠ける印象で、実際に宿泊した後トラブルに巻き込まれる予感がしたので、私は今回はBooking.comを使用しないことに決めました。
そこでAgodaで短期滞在アパートを探してみたところ、メッセージのやり取りを通じて1件問題がなさそうなオーナーが運営しているアパートが発見できたため、Booking.comの予約をキャンセルし、Agodaで予約したアパートに滞在することにしました。
Agodaで予約した短期滞在アパートはトラブルが少なく比較的快適に過ごすことができました。一時滞在先として、特に短期アパートへの滞在を検討している場合、予約時にサイトに掲載されていない追加料金がないか、あるとしたら何にいくら払わなければならない可能性があるか、また自分が必ずついていてほしい備品など(エアコン、洗濯機など)が本当に付いていて、利用可能な状態かどうか確認することをおすすめします。
ハッキリと答えず曖昧な返事が返ってきたり、返事がなかったり、マルタに着いてからすべて教える、などは後から余計な追加料金を請求される可能性があるので、避けた方が無難かもしれません。
未確定部分以外の箇所をすべて埋めたフォームの提出
長期滞在アパートとアパートのオーナーの情報、住所、マルタの電話番号など、この時点ではまだ確定していない箇所を除く欄をすべて埋めて提出。青いペンで手で書いてスキャンしPDFで提出します。
ビザの申請プロセス中、スキャンしなければならない書類が多かったので、iPhoneのメモ帳についているドキュメントのPDFスキャン機能がとても役に立ちました。特にマルタでは日本と違って、近くのコンビニなどでいつでも気軽に印刷・スキャンができるとは限らないので、とても助かりました。印刷は実は文房具屋さんや街の家電屋さんなどが印刷屋さんも兼ねていて、営業時間中に持っていくと、店の奥にあるコピー機でお店の人が印刷してくれます。印刷については、また別の記事で紹介したいと思います!
レジデンスカード有効(予定)期間1年間をカバーする健康保険証の提出
これはとても苦労した1つ目の難関ポイントでした。ノマドビザの条件と自分の予算に合う健康保険を探し出して、期限までに保険証と領収書を提出しなければなりませんでした。
具体的なマルタノマドビザ申請のための保険の要件は、以下でした。
マルタノマドビザ申請のための保険の要件
- レジデンスカード有効(予定)期間の1年をカバーする契約期間
- 一括前払いのもの
- 基本的な通院・入院(+女性の場合は妊娠)をカバー
- 旅行保険はNG、健康保険
- Letter of Approval in Principle(原則承認書)を受領した後30日以内に契約書と領収書を提出
旅行保険はNG、健康保険に加入必須
基本的に「ノマド保険」「nomad insurance」などで検索して出てくるのは旅行保険が多いのですが、マルタのノマドビザは旅行保険では許可されず、あくまで健康保険である必要があります。
最初は、旅行保険と健康保険の違いがよく分からず探すのに苦労しました。ざっくりした違いは、旅行保険は旅行に特化した緊急時に手厚い保険、健康保険は日常の通院・入院をカバーする保険という違いがあるようです。
保険契約前にエージェントに保険内容をチェックしてもらいOKをもらってから契約
契約した後にノマドエージェントからNGを出されると無駄なコストになる可能性があるので、保険契約を結ぶ前に担当エージェントに検討している保険の情報をメールで送ってOKかどうか確認してもらい、OKをもらってから加入の手続きをしました。
保険の内容を確認してもらう際、なぜか私の場合は、テーブル(表)形式で送る必要がありました。表形式で内容を確認できるリンクやPDFなどがないかホームページを探したり問い合わせて送ってもらい、そのスクリーンショット画像またはPDFをメールに添付して送ると確認してくれました。
要件に合う保険と金額は?
金額的には、普通に探すと要件を満たす保険は年間50-60万円以上のものが多く、予算20万円程度しか見込んでいなかった私としては痛い出費になってしまうし、かといって他のものは要件を満たさずエージェントからなかなかOKが出ませんでした。
日本の保険会社では海外での健康保険は私が知る限りなく、ヨーロッパの保険会社からの返信は遅い(1週間以上返信がないなども多い)。。。2週間以上探し続けて提出期限が迫る中、ようやく見つけたのがアメリカの保険会社で、世界120カ国で海外で暮らす人向けの健康保健を提供している Regency For Expats でした。
何よりメールの返信も迅速、他の保険会社と違う圧倒的な丁寧さで、質問にきちんと答えてくれる!(日本人にとっては当たり前のことが、こんなに素晴らしいとは・・・!笑)内容に対して価格もリーズナブルで、ラッキーなことにキャンペーンを開催していたようで、Regency For Expatsの海外健康保険の中で最もカバーしている最上位のプラン(Fully Comprehensive)を US$ 2,193(記事執筆時点 約33万円)で加入できました。
注意点としては、加入前の持病には対応していないので、持病もカバーしたい場合は別の保険を検討する必要があります。持病はカバーしてなくても大丈夫な人には、おすすめです。加入もすぐできて、支払いが済むとすぐに加入証・領収書を送ってくれます。質問にもきちんと迅速に答えてくれる(それはヨーロッパでは当たり前ではなさそう(;x;))ので良いです。
先ほどご紹介したCynthiaさんはブログ内で La Ferlaというマルタの保険会社を紹介していたので、私も問い合わせてみたところ、健康保険で通院・入院ともに最低限のカバーがされていて、内容に対して金額もリーズナブル(一番上位のInternational Gold Planでも€1500、日本円で約24万円)で魅力的だったのですが、申し込み時点でマルタに現住所がないと加入できないとのこと。私の場合は長期アパートが確定する前に健康保険証を提出しなければならなかったため、今回は諦めて他の保険を探すことにしました。次回保険を更新する場合また候補に上がってきそうです。
マルタ到着2日後、Residency Malta Agencyオフィスで指紋(biometrics) をとる
ここまでのプロセスは日本出発前までの手続きでしたが、ここからはマルタに到着してからの話になります。到着した2日後、指定された時間にオフィスに行くよう事前に指示がありました。マルタに着いたばかりで土地勘もなく、わからないことだらけの中、マルタ島の中心地のあたりにあるResidency Malta Agencyのオフィスに行くことになりました。
この前日、Go Mobileでスマホを使えるようにしておいたので、eCabsというタクシーアプリを使ってタクシーで行くことにしました。短期滞在アパートのGziraからオフィスまではタクシーで片道15分ほど、料金はエコノミーで片道8-10Euro程度でした。
実際に行ってみると、指紋をキャプチャしたり、顔写真を撮ったり、サインを書いたりということを複数回繰り返すもので、待ち時間もほぼなく30分ほどで終わり、意外とすぐに終わったという感じでした。
最大の難関は、期限までのアパート探し!
ノマドビザ申請のプロセスの中で最も難関だったのが、期限までのアパート探しでした。これについてはここでは話が長くなるので、別の記事に分けて紹介します。以下の記事でアパート探しの体験談を紹介しているので、興味のある方は参考までにぜひみてみてください!
アパートが決まった後やったこと、提出したもの
ここまでで、最初の難関だった健康保険探しを無事に終え、保険証と領収書、一時滞在先の領収書、一旦埋めたフォームを提出した後、Final Approval(最終承認)をメールで受け取っていました。
しかし実際にはFinal Approval(最終承認)は、一旦の承認で、アパートの契約書を期限内に提出するという大きなタスクが残っていたので、手放しで喜べる心境にはならず、アパート探しに四苦八苦していました。
そして最大の難関だったアパート探しもなんとか無事に終え、以下に対応しました。
賃貸契約書(Lease Agreement)の提出
提出済みの保険開始期間(つまりレジデンスカード有効予定開始日)の前日までに、保険期間をカバーする1年以上の賃貸契約書(Lease Agreement)を提出しなければなりませんでした。これは、敏腕不動産仲介エージェント、ラーレのおかげでとてもスムーズに手に入れることができ、提出することができました。
以前提出したフォームを、未確定部分だったところを埋め直して提出
前回提出したフォームにまだ埋まっていなかったオーナーのサインとアパート・オーナーの情報、住所、電話番号を青いペンで手で記入して埋めてスキャンしたPDFを提出しました。
Housing Approval
これは元々予定されていたものではなく、急遽追加の提出を求められたもので、アパート契約後、オーナーさんが政府に申請して許可が降りた時にメールで送られてくるものでした。オーナーさんのご協力もいただき、無事にHousing Approvalを受領し、めでたく全ての提出物を期限までに提出し、あとはレジデンスカードが送られてくるのを待つのみ(2,3週間かかるとのこと)となりました!
その後、無事にレジデンスカードを取得!Congratulations🎉
ということで、無事にレジデンスカードを手に入れました。大変にお疲れ様でした、私!!
最初にお伝えしたとおり、私の個人的な体験なので、タイミングや担当のエージェント、申請する方によって条件やプロセスが変わってくる可能性が高いです。実際に申請する際には、ご自身で公式サイトを確認し、担当エージェントの指示に従って進めてください。
免責事項
このブログに掲載されている情報は、マルタ・ノマドビザの取得に関する私自身の経験に基づいています。 法的助言ではなく、関心のある方は、移民弁護士または居住地のマルタ庁から専門的なアドバイスを得ることをお勧めします。